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解説A11「日向木挽き唄(宮崎)」

解説A11「日向木挽き唄(宮崎)」

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宮崎県民謡。
宮崎県は古来より広大な山林を有し沢山の材木を産出しているが、この唄は、その木材の切り出しや製材の時に、大きな鋸を手にした杣夫(そまふ)や木挽き山師達によって唄われた仕事唄である。

この唄の源流は土着のものではなく、冬の農閑期を利用して九州へ出稼ぎに行った、広島県の木挽き職人が伝えた「広島木挽き唄」だといわれており、県北の北川町、県中の諸塚村、県南の北郷町などにそれぞれ代表的な唄がある。

当時の木挽き山師は、大鋸で木材を手挽きする筋骨隆々とした一級技術士であったため、待遇もよく、歌詞にもあるように村娘の憧れであった。

今日の節回しは、稗搗節やシャンシャン馬道中唄の編曲でも有名な、奈須稔(美静)氏が、故郷の東臼杵郡西郷村の木挽き唄に西諸郡地方の木挽き唄の囃子言葉をいれてまとめたものである。

ヤーレー
山で子が泣く 山師の子じゃろ
他に泣く子が あるじゃなし *ハーチートコ パートコ

山師さんたちゃ 山から山へ
山師ゃやもめで 子は持たぬ *

大工さんより 木挽きがにくい
仲の良い木を 挽き分ける *

七十木挽きにゃ もの言うな娘
木挽きゃ七十が 花じゃもの *

木挽きの女房にゃ なるなよ娘
月に二十日は 後家暮らし *

山で切る木は 数々あれど
思いきる木は さらにない *

(日南地方の歌詞)
*チートコ パートコ
鋸(のこ)よ下がれよ ”墨まま下がれ
われとおれとの 金儲けよ *やれひけ それひけ
”墨まま=墨ツボのように一直線にの意

木挽きゃ出て行く 木場の麦ゃうれる
誰を力に 麦かろかよ

山で子が泣く 山師の子じゃろ
山師ゃやもめで 子は持たぬ

親がやるとも 木挽きさんにゃ行くな
仲の良いのを 挽き分ける

山師さんたちゃ 山から山よ
花の都にゃ 縁がないよ

人の情けと 煙草のけむり
次第次第に うすくなる

主と私は 羽織のひもよ
固く結んで 胸におく

(宝謹メモ)
歌詞全体に、如何にも気ままな職業「木挽き」ぶりを感じますね。また当地の生活の様もありありと伺えます。
26文字の甚句調の中に、時には「う~ん・・・」とうならせる程に含蓄のある意味を唄っているものもあり、興味深いです。
「思いきる木はさらにない」
「人の情けと煙草のけむり~」 など。

あと、
「木挽きさんにゃ行くな」は、いくなではなく「ゆくな」と発音するのが唄のジャンルではセオリーです。
「主と私は羽織のひもよ~」は、他の民謡にもある歌詞です。