わが青春の吹奏楽08
わが青春の吹奏楽08
「コンクール」
三年生の夏休み、僕はN嬢に誘われて、吹奏楽コンクール神戸地区大会の高校Aの部を見に行きました。他に彼女の友人のF嬢、僕も部長を誘ったので、合計4人。
コンクールという独特の世界に接する機会は、二年生の時に男子5人で見に行った「マーチングコンテスト」もあります。中央区の中央体育館で行われる、通称「マチコン」は、あまりの反響音の凄さに、帰りの電車でのレールの音が、ドラムマーチにさえ聞こえるほどでした。一言で言えば、マチコンは体育会系、コンクールは正しく文化会系という印象でしょうか。でも、このコンクールに臨む意気込みと気合いの入れ様は、体育会系をも凌ぐ凄まじいものだと分かるのは、高校に入ってからなのでした。
行く時から、彼女たちにコンクールという世界の様々な側面を教えられました。彼女たちは兄弟に当時高校生の兄がおられる関係上、そういう情報には精通しておりました。
1)会場となる文化ホールは500円以上の入場料から使用料が5倍になるのだが、499円の入場料と連盟への寄付金1円という内訳で額面上500円としていること。
2)コンクールは、中学・高校・大学・社会人・一般の区分があり、中学と高校は45人以上50人以下のAの部と、30人までのBの部とに分かれていること。(近年は少子化対策でS部門もある)
3)Aの部には毎年発表される4曲ほどからなる課題曲から1曲を任意に選び、次に自由曲を演奏すること&演奏制限時間は2曲合わせて12分以内であること。
4)課題曲と自由曲の間は、観客の拍手は禁止されていること。
5)コンクールそのものは朝10時から始まり、結果発表が終わるのが19時を過ぎること。
6)表彰は、金賞・銀賞・銅賞からなるが、三団体のみの受賞ではなく、各学校に各賞が規定数割り振られること(当時、金賞であれば次の大会に進めた。近年は金賞でも進めない通称「ダメ金・タダ金・カラ金など」がある)
7)金賞と銀賞の発音が分かりづらいので、金賞のみ発表者が右手を挙げて言うこと。
8)金賞の学校からは大歓声が沸き起こって場内騒然となること(この瞬間こそ「コンクール」の醍醐味である)
などでした。
僕が観に行った当時、課題曲Aが「吹奏楽のためのインベンション第一番」、課題曲Cが「カドリーユ」でした(懐かしいでしょ!)
この時、金賞で県大会に進出したのは、僕らが該当する神戸第一学区からは、神戸高校、御影高校、葺合高校など、偏差値上位3校でした(他の学区は覚えてません)。特に神戸や御影は、前年度から定期演奏会を始めたばかりだったこともあって(神戸はOB吹奏楽団主催で現役生は賛助)実力はかなりのものでした。特にこの2校は、次の年から僕が高校在学三年間という瞬く間に、全国レベルにのし上がることになるのです。
因みに。
将来通うことになる(とはこの当時想像だにしなかったのですが)東灘高校の演奏は~ 大した印象はなかったですねぇ~。それが指揮者によるものだとわかるのも高校に入ってからだし、東灘が将来「県大会常連校」と呼ばれるようになるのは、更に僕らの代の卒業直後から6年間という、苦渋の歳月を費やすことになるのも、この当時は知る由もなかったのでした。
さて。
感動と興奮と感心のコンクール見学の後、楽しい合宿が近付いてきました。二年生だった前年は、顧問の先生に連れられて男子5名が、練習後の肝だめしや花火大会などの景品を買いに三宮の問屋街に出向いたものでしたが、もう三年生にもなるとそういう辺りは後輩に任せて、悠々と合宿を楽しむ雰囲気がありました。下手くそで泣いた一年生の頃を思い出しながら、バスは一路、スキーで有名な兵庫県北部ハチ高原に向かうのでした。