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コラボ! 次々に生まれた曲たち(5)

コラボ! 次々に生まれた曲たち(5)

「バラード稗搗節」

先に述べました「ブルース花笠音頭」が、とある環境によってイッキに出来上がったのに対し、この「バラード稗搗節(ひえつきぶし)」は、結構手間ひまをかけて組み立てていった経緯があります。

’94年の秋頃でしたか、ある晩、いつも通りに床につくと、ふとあるフレーズが頭の中で流れ出したのです。8分の12拍子で、いかにもラブソングっぽい曲調でした。そもそも稗搗節の興りは、那須大八と鶴冨姫との悲恋物語ですから~ それにしてもこの時思いついたフレーズは「正しくフェイク」と言えるもので、楽譜上でキチンと確認し、周到に組み立てていかないと、雰囲気だけで作っては危険だと咄嗟に思いました。そう思うなら即座に布団を出てメモっておけばいいものを、秋の夜長とでも申しましょうか(笑)「ま、いいっか!(爆)」ということで、そのまま眠りにつきました。その代わり、朝になっても忘れていないよう、確りと脳裏には焼き付けておきながら・・・

果たして翌朝、ちゃんと忘れずに(^_^; 五線譜にメモでき、それから数日をかけて、思いついたフレーズとコードが合致するよう、慎重に周到に組み立てていきました。
基本的なベースコードは「ドシラソファミレソ」という、一般にもよく使われるもので、マッチングは非常に絶妙でした。
ただ、一番の歌詞中でいう最後の部分「オオーじゃれヨ」をどうしようかで迷いました。仮に原曲と同じようにすると、楽曲としては尻すぼみな感じになってしまいます。せっかく流麗なメロディにできたのに、これではもったいない・・・
そこで、
もうここはいっそオリジナルでもいいかと。
ただ、
あまりにかけ離れたものでもいけない。
では原曲のどういう要素を引っ張ってくるか?
「要するにこの部分はエピローグだから、音の動き方だけを似せておいて、あとは前半部分のフレーズが8分音符で細かく動くのに対し、付点2分でおおらかに歌うようにして曲としてのバランスを取ろう」ということにしました。

それから出来上がった原型を友人宅に持参したのですが、今にして思えば「あんなラフな説明で、よくここまで忠実に仕上げてくれたものだ」というほどのものでして(汗)・・・

そうして出来上がった「バラード稗搗節」は、ただ聴いただけでは恐らく、民謡だとは勿論、原曲が稗搗節だとさえ誰一人分からないほどのものになりました。でも五線譜で照合すると、明らかにそれは「稗搗節」のテーマをフェイクしたものだし、嬉しいことにこれを聴いた誰もが「綺麗だね」「うっとりするね」と、おっしゃって下さいます。

僕の民謡アレンジの概念の中でも特に「JAZZコラボ」は「民謡のにおいを出来る限り消し去る」ことにあります。題名を言わなければ、それが民謡をアレンジしたものとは気付かないように仕上げるのです。勿論、ただ闇雲にいじくり回すのではなく、キチンとした理論に基づいてのことで、「JAZZ」はその媒体として非常にうってつけだったのでした。

この後「こきりこパズル」「バラード郡上節」「サンバ北海盆唄」の3曲が、立て続けに生まれていくのです。