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わが青春の吹奏楽13

わが青春の吹奏楽13

「高校という世界」

目出度く公立高校合格が決まった、その晩。驚くべき出来事がありました。電話が鳴り、受話器から聞こえてきたその言葉に、僕は耳を疑ったのです。
「東灘高校に合格されましたKYさんのお宅でしょうか」

え゛?
なんでわかるの?

ビックリしながらも「ハイ、僕ですが」・・・

電話は、中学同窓の一年先輩で東灘高校吹奏楽部に所属するMさんからの勧誘だったのです。驚きを隠せないまま応対していましたが、僕は高校に入っても吹奏楽部と決めていたので、その旨をお伝えすると「わぁ~有難う! じゃ○○の日の○時に(この日時は新入生の物品購入日)正面玄関で待ってるからね」と、弾んだ声で電話は終わりました。

合格したその晩にオファー!?!?!?

「高校ってスゴイとこやなぁ~」と、舌を巻いたものでした。
後日分かったことですが、当時の吹奏楽部顧問が生活指導部長で、合格者リストを見れば一目瞭然ということで(勿論教師だけ)心底感心したというわけだったのですが。

さて、約束の当日。
同じ高校になった中学時代の吹奏楽部長H君と一緒に、ドキドキしながら正面玄関前に行くと、M先輩に加え、初対面の男子先輩が立っておられました。紹介された後、その男子先輩から、
「オレ、部長のHやけどな。吹奏楽部に入ってくれる?」
「ハイ。宜しくお願いします!」
「やったぁ~っ! ほな、後で部室へ来てな!」

♪♪♪ムヒョヒョ~。なんか、うれしいぃ~(^_^)

で、
用事を済ませてから、ワクワクドキドキで四階の音楽室へ向かったのですが・・・

さあ。ここからが驚きの連続です!

1)
まず、
挨拶をして入ってみるとその音楽室は、ただ「部屋」であっただけの中学のそれとは違い、天井や壁は穴開き合板で、音が必要以上に反響しないようになっていました。また、教壇とその周辺はフラットですが、後ろはひな壇状で、フラット面は木管楽器、二段目はホルンとユーフォニウムとチューバ、三段目はトランペットとトロンボーン、同じその背面にパーカッションという配置で、正に本格的でした。指揮者はOBさんらしい人で、顧問の先生はこの日はお目にかからなかったと思います。因みにM先輩は、中学時代はユーフォニウムでしたが、高校ではパーカッション、この日はティンパニーをされてました。また、紹介された男子のH先輩(部長さん)は三年生でトランペットでした。

2)
でも、なんという人数の少なさ。
各パートが2~3人ずつくらい、全部で20人足らず。木管楽器でもこの有り様で、せっかくの広い音楽室がガラ~ンと広く感じました。人数だけは山のようにいた中学だったので、そういう第一印象はかなり落胆したのを覚えています。余談ですが、僕は進路をギリギリまで市立葺合高校を目指していて、でも僅かに及ばずここへ来たのですが、そういう悔しさも同時に脳裏をよぎったものでした。

3)
ところが。
指揮者が説明をするたびに、まるで体育会系の部活のような「ハイッ!」っという物凄い威勢のいい返事を全員がするのには、ビックリしました。先生が何を言っても黙っていたのとは大違い。正に「気合い」といった感じでした。また、全ての楽器はピカピカで、半分くらいが個人持ちのようでした。凹んだり、ラッカーが剥げて褪せた真鍮がむき出しになっているような楽器が殆どだった頃と、ここでも違ってました。やっぱ、楽器はこうでなきゃね(笑)

4)
そして、そして、そして。
いざ音が鳴り出して、もおおお~ビックリ仰天~!!!
こんなすごいサウンドが、たったこれだけの人数のどこから出てくるのかと思うくらい、音量、音質、ハーモニー、アーティキュレーション、どれをとっても全員が完璧でした。指揮者の振り方も上手くていらっしゃり「高校レベルの凄さ」を、有無を言う間もない一瞬でノックアウトさながらに痛感させられました。

5)
おまけに。
指揮者の方が、ハーモニーの説明をするのに、そばにあるグランドピアノを易々と弾いて解析したり、指揮者の指示以外にも、いくつかのパート内で奏者同士が手短かにやりとりをしてたりで~~~
それはもう「ただ単に好きだから集まってきた」ではなく「我々は才能があるから吹奏楽をしてるんだ」といったプライドまで、ビリビリ感じてきました。

また、
全員が必ずしも制服を着ているわけではなく、各自思い思いのトレーナーや、男子は、中学では禁止されていた所謂「悪ズボン」をはいてたりして、そういう風景にも「高校らしさ」がプンプン匂い・・・

まあとにかくぅ~~~~

レベルを落として入学していることや、またこの高校の立地条件は最悪で、第四工区のまんまん中に立っているので最寄駅からは果てしなく遠く、また道中も校内も空気は悪く(臭く)、もう落胆しきりでしたが、この日の部活見学の印象は、そんなマイナスを木っ端微塵に打ち砕くに余りある、実に強烈なものでした。
逆に、
いつもの僕なら「ついに才能を存分に発揮できる環境に恵まれた。周囲に気遣う必要もない。思いっきりやるゾー」などと、大いに胸を高鳴らせるのに・・・ 受験勉強というブランクを自分が一番良く分かっているせいか、なぁ~んか打ちのめされ過ぎて f*_*;
「それにしても昨年、コンクール高校の部を聴いた時、東灘高は大した印象ではなかったハズ。やっぱり間近で聴くと違うのかなぁ。ついていけるかなぁ?」などと、悶々とさえしながら帰路についたのを覚えています。しかしこの「間近で聴くと凄くて、コンクールでは大した印象ではない」というカラクリがどういうものかが、追い追い分かってくることになるのですが・・・

とまれ、劇的なまでに切って落とされた「花の青春時代」の幕。
これからどんな三年間になっていくんでしょうかぁ~???