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十五周年記念大会を終えて・・・

十五周年記念大会を終えて・・・

 恐らく、現状の民謡界に於ける「記念大会」と銘打つ中で最も短時間であったであろう、

日本民謡幸真会十五周年記念大会が終了致しました。

まずは事故や怪我、トラブルもなく無事に幕を下ろせた事に、深甚の感謝の意を表します。

今月のコラムは、反省と皆様より賜ったアンケートを検証するという形で進めたいと思いますが、その前にまず、

実動時間「約3時間」(予定2時間半)を民謡界のお歴々はどうご判断なさるでしょうか? 

洋楽のコンサートでは標準的ではありますが。

手前共は、重厚長大時代はとうに終わりを告げ、軽薄短小時代が益々進む世相に鑑み、

「時間短く内容濃く」のモットーを「記念大会は10年毎」の狭間的感覚の今回とリンクさせて、端的に表現し得たと思います。

もっとも、人数の少なさを逆手に取った手法とも解釈できますが、大人数の会ならともかく、そうでない手前共が、

主婦層が殆どの客層に対して、食事の時間を2度も跨ぐような舞台時間が受け入れられる筈がないと思ったからです。

もう一つ「賛助出演の方々は番組の最後部分に」の一般的手法をしなかった事も、特色として挙げられます。

そもそも賛助とは、読んで字の如く「賛同し助ける」従の立場であり、主は言わずもがなその会であるのに、

民謡界では昨今、これが逆転しています。何故かというと、

賛助の方々を大事に扱うというかつての大義名分に隠れて、ぶっちゃけた話、自前で出来る番組内容が貧困だからです。

これをカバーする為に、メジャーな賛助出演者を呼んで最後までお客様を引き付ける様にするのです。因みに、

するとお客様も心得たもので、今度は初動時間の集客率が下がります。ならば「先着何名様に粗品進呈」・・・

恥ずかしいです。粗品で客足を「釣る」会をするのは民謡界だけ。「釣られる」方も情けないです。

音楽なのですから、音楽でオリジナリティーを出すことに力を注いで戴きたいです。

そういう風潮を是正する意味で敢えて、ご賛助の方々を三部構成の真ん中、第二部としました。

ジャンルを越えてかなりの重鎮方がご賛助下さった今回にも関わらず、です。が、

この方が舞台上の流れにおいて却って効果的でした。決して失礼な印象などなかったと感じています。

 さて・・・フィナーレで私がご挨拶させて戴いた様に、手前共では及ばず乍ら、

「ナンバーワンではなくともオンリーワンでありたい」を今後の新たな目標に加え、

幸真会にしかない価値を、なるべく平易に表現する事に全力で取り組んでおりますが、

特に今回、この目論見はお陰様で、お客様からのアンケートにも顕著に現れました。

圧巻はなんと言っても、ピアノ譜を三味線で伴奏するという日本初の試みと卒寿の歌声との共演、小橋潔大阪音楽大学名誉教授と、

過日NHK全国学校音楽コンクールで金賞に輝いた日本一の「すみれ色のハーモニー」宝塚市立すみれガ丘小学校合唱部でした。

民謡界として本来の、名人会の先生方や踊りも流石です。「これぞ民謡」「第一声で涙が出た」などのご感想を戴いております。

合奏も、従来のアレンジにありがちな単旋律型ではなく、

各パートが均等なアンサンブル型の「美空ひばり組曲」に人気が集まりました。

これらは幸真会にしか出来ないお顔ぶれ、そして企画でしょう。民謡というジャンルに接点を保ちながら、

「ボーダーレス」「グローバリズム」という世情を手前共なりに表現できたと思っています。ご協力戴いた皆様に感謝です。

 一方、批判意見もありました。

客層に対して、知っている曲を口ずさむのは出演者や他の客に失礼、番組の途中での会場の出入りは止めるべき、などです。

全く以て同感です。普段のプログラム内容なら多少の出入りはあるでしょうが、今回は企画ものばかりですので、

途中入退場は控えるべきです。ただマイクを使うとホワイエ全体にモニター音が放送されるのですが、

今回はナマ音が多く外からは判断しにくかったきらいもあり、この件に関してはいささか止むなしと思われます。

それと観客が唄を口ずさむ点ですが、こういう趣きは雰囲気によって賛否が分かれるとは思います。しかし、

今回の手前共の場合はタブーでしょう。皆様ご一緒に、の場面は歌詞プリントを渡して照明も明るくしました。ということは、

それ以外は静かにするべきなのです。何しろ私の唄の時でも喋っている方がいて、舞台の上から睨み付けたものです! 

大の大人に向かって「静かにしなさい」とは・・・民謡界は、まだまだだと思います。

 マイクの使い方にもご注意を戴きました。仰せごもっともで誠に耳が痛いです。

マイク恐怖症?とか、舞台での音の聞こえ方と判断の仕方が不慣れだからとか、年配だからとかの言い訳は、しません。

下手なものは下手。厳粛に受け止め改善に努めます。また、

ナマ音とマイクとのバランスが悪かった点もキツく反省を促されており、今後舞台会社への注文の仕方が大切と思っています。

これらを詰めていく事が、更なるコンセンサスと集客率の拡大に繋がると思うからです。

 お客様の目には直接見えない奏功もありました。

十周年記念大会の時は震災1年後にも関わらず、総経費が260万円にも上りましたが、

今回はたった100万円程に留まっています。

例年の発表会が150万円~180万円で推移しているのに、また内容的には前記念大会よりも充実しているのに、です。

これは「やりくりは工夫次第」「智恵は絞れば出る」事を如実に証明しました。来年以降は更に削減可能との概算です。

また、舞台、接待、受付、運搬といった裏方部署の業務を、会主の高校吹奏楽部OBによるトータルスタッフに委任しました。

彼等には事前研修で業務マニュアルを徹底し、当日は互いをトランシーバーで結んで効率良くこなせた事も、特筆点です。

手作りの会の良さも勿論あるでしょうが、もともと手前共が使う会場内での業務内容では、

従来のような会員のスタッフ兼任では限界があって、私は随分前からこの提案をしておりましたが、漸く今回実現しました。

予定舞台時間よりも押し気味に進行せざるを得なかった今回、彼等のスピードと判断力、対応力、そして笑顔と活力には、

会員一同、大いに助けられました。良い結果を出してくれた若いスタッフ達に、心から感謝しています。

 一方、ここに至る迄には随分な苦難が多々ありました。

先月のコラムにも書きましたが、当日真際まで様々な問題が後を断たなかったのです。

老化による徹底力不足と判断力の低下・・・中でも、

まるで小学生の発想とも思える場面に何度か遭遇した時は本当に、民謡界の低さに幻滅しました。

クラシックでは多分こうはならないだろうという部分、「会主」ではなく一人の男性として情けないと感じる部分は、

もう駄目です。リーダーが如何に強力なカリスマを以てしても、一人は一人。皆は「考えて」行動するのが当たり前です。

 ・・・ま、何はともあれ終わりました。些少ですが手応えは感じています。

しかし企画力をいくら駆使しても、肝心の幸真会がもっと上手くないと駄目ですね。

風聞には「満員の可能性」も囁かれましたが、結局はキャパシティーの7割ほどに留まっている辺り、

やはり幸真会そのものに責任があると感じます。

カルチャーという技術的限界に如何に挑むか。もともと才能もなく得手でもない方々を、如何に70点主義に安定させるか。

何より「老化」という問題に如何に取り組むか! 指導者を自認する私の挑戦は、これからもまだ続きます。

これが私の宿命、仕事です。

 今回ご来場下さいました皆様方、ご指導ご鞭撻を賜りました皆様方には、

心より厚く御礼申し上げます。そして今後共、末永いご愛顧を宜しくお願い致します。

ありがとうございました。