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幸真会の構造改革

幸真会の構造改革

 今月のスケジュールに記載の通り、来年から二十周年時点への完成に向けて、小泉首相ではないですが、構造改革がスタートします。これは今回から加わる新しい枠組みとシステムです。

 まず、児童生徒や学生から30代までの若年層の部を新設し、これを「輝(かがやき)」と呼んで、独自の活動を展開します。

「輝」の特徴は、幸真会に会員として呼び込むのではなく、各学校の部活動やサークル活動に委嘱し、会主が指導に出向く事を基本とします。

 委嘱の形を取った理由は、彼等にとっての、お教室に通わせるということから発する時間とお金の負担という問題が、従来に比べて大幅に解消できるという点と、学校教育現場にも対応出来る事が、これからの民謡ジャンルの指導者に必要な要素になってくるであろう点の、両方を満たした方策であるからです。

 次にこの中から、学校を卒業してもなお、民謡を続けたいとの意向を持つ人材や逸材が出れば、今度は「煌(きらめき)」と呼ぶ部を新設して、彼等を招致します。

  「煌」はコンクールにも対応出来る実力最優先主義の精鋭部隊で、「輝」で培った経験を更に磨き、育てていくのです。 つまり「輝」でスタートし、その将来の受け皿、進化形が「煌」という訳です。

 以上が言わば、ハード整備です。

次にソフト整備ですが、一番大事なのは、テキストと指導手法を統一していく事です。 これが従来、民謡ジャンルに於てはなかなか難しい問題でした。

本来、日本民謡は民間伝承であり、それ故に新民謡以外は楽曲の殆どに著作権がありません。 それは即ち、元唄、保存会、コンクール用、各協会や連合会等の団体が指定するものから、手前共のような個々の民謡会、果ては、個性的な演奏家の方々に至るまで、実に多種多様な解釈や唄い方、演奏法を許容する事となり、また近年そうした多様化が益々増え、いきおいそれが「ゆこりぶし」の歌唱とも相まって「民謡は難しい」と言われる所以でした。

他方、指導に携わる方も、本来が演奏を主としてはいてもマネジメントに長けている訳ではないので、 指導手法は非常に個性的というか曖昧な点が多く、日によって時として、悪く言えばバラバラといったきらいがありました。

また、インストに関しては楽譜が整備されていますが、唄は現在でも殆どが口伝に頼っており、 カセットレコーダー等オーディオの普及で、ある程度はテキスト化出来るようになりましたが、楽譜という「形」を提供する事に、まだこれといった決定打はありません。

 これらを、手前共幸真会は可能にしました。

指導手法は、一つの楽曲テキストに対して、基本、標準、発展、応用と4段階にレベル分けし、今どの段階か、次にどの段階に進むのか、やがてどこにいこうとしているのか、また、そこにいくために何が足りないのか、そのためには何をどう成すべきかを、明確に示します。

所謂「システマチックマネジメント」です。

高齢者にとってこの歩みは、時として不可解に映るようです。現に、楽曲の内容とは全く異なった、言わばトレーニングに於て、それが持つ意味を理解出来ない様子を感じる事があります。

しかし若年層にとってこの手法は必要不可欠で、殆どの場合、圧倒的なコンセンサスが得られます。むしろ、邦楽などの「和」的なものは得てして「根性」や「侘びさび」を前面に押し出されるといった印象があるのですが、それが意表を突いて、普段身の回りにあるような科学的解釈や学校で習った事、考え方などで充分通用すると判ると、あとは若い力で凄まじい勢いで、習熟度を増していきます。

 また唄の譜面は、小生が独自に考案し’97年から幸真会で使用しているものがあります。

民謡の唄の譜面といえば今まで、極めて原始的な様相であったり精神面のみが強調されていたりで、部外者には解読が難しいものが多かったのですが、幸真会のそれは、曲と譜面との間の誤解が極力少なくなる工夫が成されていますし、最低限、平仮名と片仮名さえ読めればそれなりに唄え、民謡に精通している方には更に理解が深められるようにもなっています。

また、唄の骨格部分のみを表記していますので、演奏家個々の特徴は各自で書き加えて完成させて戴くという方法により、音楽性の面での、要らざるトラブルやぶつかりはなくなりました。

色んな、そして多くの様々な方々に、広く正しく利用して戴ける可能性が生まれたのです。 これにより、現在の幸真会が抱えている少子高齢化という問題は、解決を目指す事が出来るようになりました。

 人を育てるというのは、かなりの時間と手間を必要とします。一朝一夕に結果が現れるものではありません。

 ひょっとして、今の幸真会にとっては回り道かもしれません。

 ひょっとして、もっと即効性のある方法があるのかもしれません。もしそれがあるなら平行して進める必要があるでしょう。

しかし「人材育成」は、人間に与えられた使命の一つです。 時間はかかりますが、これを成さずして真の発展はあり得ません。 今まで独自に積み重ねてきたノウハウを、現状の維持だけでなく、未来へも向けていくことが肝要なのです。

これが実現すれば、自身の進化と明るい未来の両方が手に入るでしょう。

日本民謡幸真会は、今回から始まるこの構造改革を、是非とも成功させたいと思っています。