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学校音楽邦楽導入へのご相談窓口開局

学校音楽邦楽導入へのご相談窓口開局

 当WEB開局4周年目のコラムは、スケジュール頁にも記載の「学校音楽邦楽導入へのご相談窓口」に関する詳細と致します。

このご相談窓口を開局するに至った発端は、一昨年から昨年にかけて、小生の母校を初めとした近辺の中学校数校や高校を訪れて実情を伺った事に始まります。

大抵の先生方から返ってきた答えは「それどころではない、困っているのだ」というものでした。

「週5日制と邦楽導入は反比例の様相を呈しており、尚且つガイドラインが示されていない。

 少ない時間で何が出来るというのか、また誰に相談していいのか、現場は困惑している」と・・・

これは確かに事実です。週5日制とのリンクは、芸術科に最も不利な結果を招いてしまいました。

例えば、ある自治体の年間削減時限数は、小学校高学年で20時限、中学校で10時限。

年間授業時限数は、中学1年で45時限、2、3年で35時限となったそうです。すると、 学校は、夏、冬、春の長期の休みがあるので、年間の実動は9ケ月。これを上記の授業時限数で割ると、音楽の授業は週1時限がやっとという計算になります。この上、邦楽導入と言われては、困惑なさるのも当然でしょう。

地方では、今どきわざわざお上が言わなくても、早くから独自に民謡や浄瑠璃などの郷土芸能、伝統芸能が根付いますが、少なくとも神戸市のような都市部では、今回の素晴らしい方針は前述のごとく、残念乍らまるで「笛吹けど踊らず」の様相を呈しており、しかも所によっては思った以上に事態が深刻で、ペナルティーがない事が幸か不幸か、円滑に進んでいるのは一握り中の一握り、ほんの僅かな学校に過ぎないようです。

小生のような本業の者なら、こういう状況下にあっても多少の智恵は絞れるでしょうが、教師という多忙な職業にあっては、確かにこれは無理からぬことなのでしょう。そこで、「困っているのなら憚り乍らせめてご相談のお相手なりとさせて戴こう」と思い付いたのが、今回の開局だったのです。

 開局にあたり、まず葉書によるダイレクトメールを、神戸市内と明石市内に於ける公立私立全ての中学高校に郵送しています。

一方このホームページ内では既に、それに対応する新しいボタンが整備されています。

そこにはまず、冒頭のご挨拶文に始まり、次に方策例が自由閲覧式に列挙してあります。

様々な学校の実情を主な4段階に分けて、それぞれに見合う方策例をご提案しているのです。

人によっては可笑しいと感じられるものもあるかも知れませんが、要するにポイントは「お金と時間の少なさ」だと思います。そのどれもが少なくて実行するのが難しい、まして、 和楽器を購入して長期に実践しようなど贅沢だという実情が殆どでしょうから、それでも実行可能な苦肉の策といえばいきおい列挙してある方策例、という具合になるのです。

それでは、特徴ある方策例を幾つか解説してみましょう。 

 *時間的且つ金銭的制約が多い場合「平行調こきりこ節」を唄う

これは小生が民謡ジャズでアレンジした楽曲を教材化しています。

富山県民謡こきりこ節は、所によっては小学校の音楽教科書に載っていると思いますが、 日本民謡中最もシンプルなこの楽曲なら、少ない時間でも無理なく接する事が出来るでしょう。

日本民謡はminor主体と思われがちですが、サイズや構成は原曲同様に、ピアノ伴奏のみ平行調でmajor処理した事により、平行調という試験問題の要素を邦楽と絡めるという形で両方体験出来る教材です。

また「唄う」という事がポイントです。和楽器を買い揃える必要がありません。加えて、 ピアノ伴奏仕様というのも教師にとっては有利で、正に「お金と時間」が少なくても何ら差支えないアイデアだと思います。

 *「バラード郡上節」をリコーダーで演奏する

これも小生が民謡ジャズでアレンジした楽曲を教材化しています。平行調こきりこ節同様ピアノ伴奏仕様です。

一見ワンノートのみと思われがちな日本民謡ですが、 バッキングの基本ともいえるブルースの要素を取り入れた3タイプのコードを中心に構成しており、 原曲のテーマがどのように展開して伴奏と絡まるかといった「アレンジの楽しさを味わう」目的の作品です。

またリコーダーは大抵教材楽器として買い揃えているでしょうし、これも様々な制約をクリアできる方策だと思います。

 *課外でも良いなら、地域の盆踊りに参加させる

週5日制で授業時間が少なくなった事を逆手に取ったアイデアです。

盆踊りという性質上、夏休みが言わばその勉強時間となるので、実現可能なら、週5日であろうがなかろうが一向に差支えないのです。

神戸市内では「カセットを鳴らし、ナマの櫓太鼓を伴奏にして、踊る」というスタイルが殆どですので、若干の指導を経て太鼓伴奏に参加、若しくは踊りに参加というのは、そう難しい事ではありません。

また、神戸市のような都市部内の各地元の盆踊り実行委員会等にとっては、 少子高齢化の煽りを受けて後継者不足、若年層の参加不足に悩んでおられ、 若者の参加は喉から手が出る程欲しいというのが実情ですから、教師が地元より指導を受けてから児童に伝えるなり、地元にそのまま依託するなり、何れにしても喜んで受け入れて下さると思います。

一方、付属池田小の事件以来、学校だけでセキュリティーを強化するのは難しいという側面もあることから、学校と家庭と地域という「三つの連携」を推進する学区も多いと聞きましたので、 「邦楽導入に盆踊りへの参加」というアイデアは、学校が求める「家庭と地域との結びつき」も自然な形で実現出来る、恰好の教材と言えるのではないでしょうか。

 ・・・かいつまんで各々の説明を試みてみました。

 実際問題、これらが当所の目的通り、本当に皆様のお役に立てるものなのかどうかは判りません。また、 DMの発送先には所謂名門と言われる学校も含まれており、既に間に合っている所もあると思います。

それはそれで誠に結構な事であり、心より尊敬申し上げると共に、今後益々のご隆盛をお祈りします。

ここに掲載しているのはあくまで、将来そこに至る迄の手掛かりやヒントをご提供するものであり、 こんな風変わりな(笑)ものが全てという訳で申しているのではありませんので、まずはその点をご了承戴きたいと思います。

その上でご覧下されば、少なくともご参考程度にはなると思いますし、またこれ以上の方策や具体例、違った趣きをお求めの先生方には、書き込みシートによる個別のご相談も承りますので、お宜しければ一度お試し戴ければ幸甚に存じます。

 ところで、私が日本民謡というジャンルをお勧めするのは、ただ単に自身が生業としているからだけではありません。

そこで次回のコラムは、「学校への邦楽導入に日本民謡をお勧めする理由」。

その解説をしたいと思います。