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ホワイエコンサートに臨んで

ホワイエコンサートに臨んで

 初めてこのWEBで広報をさせて戴いてより一年余。

漸くこの日を迎えようとしております。

神戸新聞松方ホールホワイエコンサートNo.34 「児玉宝謹の日本民謡」

’04年1月29日木曜日19時開演。

今回のコラムは、ここに至る迄の、雑感、準備の模様、イメージの経緯などを、

お話しして参ります。

 このお話しを戴いたのは、去る’02年3月でした。

松方ホールライオンズアクティビティーで主演なさった、ピアニストの金子浩三先生の、

「金子浩三ピアノリサイタル」に賛助出演させて戴いた後、

マネジメントを務めて下さった、神戸コンサート協会よりのものでした。

「’04年の年始のホワイエコンサートは、和ものでいきたいという趣旨により、

児玉さんを推薦したいが、如何でしょうか?」というものでした。

その場では有難く快諾したのですが、私自身、

自分のコンサートの経験は初めてなものですから、正直、

どういう企画構成にしようか、そして自分でつとまるのか、色んな雑感はありました。

しかし過去に、定期ワンマンショーの構想を練っていた時期もあったことから、

そこでやろうとしていたものを基準に据えてみるのも面白いかもなど、

次第に自分の気持ちが「ホワイエモード」に入っていったのです。

そこでポイントになったのは、やはり「自分らしさ」でした。それは、

「私は演奏家ではなく指導家である。指導こそ私の本分である。」というものでした。

ただ、ともすればこれは演奏家から見れば、言い訳ともとれるでしょう。何故なら、

現在の日本では、演奏業の傍らに指導をするという図式が、根強くあるからです。

 私は、演奏と指導、もっと広く言えば実践と指導というものは、

全く別のジャンル(業務)だと解釈しています。

これは過去にこのコラムでも度々述べて参りました。

自分が実践するノウハウと、人に上手く実践させるようにするノウハウは、

共通項はあっても同じスタンスで出来る筈がない。別次元であると・・・

しかし、今回は「演奏会」なのです。講演会、講習会の類ではありません。

そこで考えたのが「レクチャーコンサート」という趣きでした。

あくまで演奏をお聴き戴くのですが、そこには、

その演奏のノウハウや、民謡曲の解説とその背景、その曲に関する思いなどを、

「指導家としてのことば」で、語りかけるように、解き明かすように、

トークで添えていくのです。

 また、プロフィールには、

「一人二芸が一般的な民謡ジャンルに於いて初めて、

三味線弾き語りを中心に、民謡に関する全パートを網羅」

という一文を載せましたので、これを実際に証明するようなプログラムが必要です。

そこで閃いたのが「MTR(マルチトラックレコーダー)の使用」でした。

曲目までは伏せますが、民謡曲を各パート別に順番に演奏し、録音していきながら、

次第に「1曲」が完成されていく様を、客席で「見て、聴いて」戴くのです。

「全パート」の表現方法は、

そういう曲を次々に演奏していくのが、オーソドックスなやり方でしょうが、

「MTRを使ったレコーディング」という手法は、極めて斬新だと思います。

レコーディングは、ノイズを防ぐためにスタジオでするもので、

その意味では、いくらお客様に静かにご協力して戴いたとしても、

完全には無理な話しです。しかし、多少のことは構いません。

何故なら、他人数ですることが当たり前だったものを、

全て一人で賄っていく様子を見せることが主目的だからです。

あとは操作方法を間違わないことと、機械が正しく動いてくれることを祈ります (笑)

 更に、 実行委員会側の所見に、
「ホワイエの特色を生かしたコンサート作り」というものがあります。

それを表現するものとして、お客様へのコーヒーサービス(無料)があります。

これはUCC上島珈琲株式会社が松方ホールに協力しているのだそうですが、

私はそれに加えて、

演奏者は楽屋に帰ってしまって休憩するのではなく、どうせなら、

私も客席で、お客様と同じように飲み物片手に歓談するという、

「ビュッフェ方式」を取り入れようと思いました。

客席で飲食をするのは勿論ホール内では出来ないので、

コーヒーサービスだけでも充分ホワイエの特色は生かされていますが、

演奏者がお客様と同じ目線で自由に歓談し歩くというのも、面白いと思います。

少し余談ですが、

幸真会の発表会ではアンケートを実施していますが、これは、

私が他の会を観に行った時の客席が、

悪くいえば騒々しく、よく言えば情報の宝の山のように、

皆様色んな批評や感想を雑談なさっておられた事に端を発するものなので、

今回の私もそうすることで、少しでもお客様の「におい」を感じられたらとの、

目論見もあります。

 あと、 衣装ですが、着物ではありません。これは、

実行委員会側の「和もの」という要求が満たされるか否かの判断が、微妙でしょう。

しかし、一般に「和もの」と線引きされる我々のような存在こそが、

こういったギリギリのところを衝いてこそ、「和ものの意気込み」をアピールできると、

確信しております。

そもそも、日本を「大和(やまと)」と呼ぶ謂われとして、

「五色人種間の差別意識を解消するために、混血結婚が最も推奨されたのが、

この日本列島だったことから、大いに和するという意味で大和と呼ばれた」

というものです。その名残りか否か、

とにかく日本人は、他国の文化や風俗を何の抵抗もなく取り入れます。

一見ポリシーがないように思われますが、これこそ、

人間同士が分け隔てなくできる最も平和的な手段です。

その意味で、和洋折衷とかアレンジといったものこそ、

実は最も「大和的」「和もの」かも知れません。

 さて。

後は、演奏です。

今回のためにスポンサーが、三味線も新調して下さいました。

またチケットも、少しずつですが売り上げを伸ばしております。

皆様方のご期待にお応えできるよう、精一杯頑張りますので、

どうか、ご声援を宜しくお願い申し上げます。