第16回発表会を終えて
第16回発表会を終えて
幸真会史上初という「寒い時期」の発表会が、無事に終わりました。
今回の経緯は、スケジュール項に記載しておりましたように、
本来、秋頃を通常としておりました発表会の会場抽選が、今回に限り外れ続け
たり、また、ホールの「先行使用」とも重なって、抽選すら参加できない時も
あって、その年内に開催することが不可能になったからです。
どんな仕事でも、どんなジャンルでも、
「場所の確保」は、かくも難しいものと、改めて実感しました。
でも今後は、これをまた逆手に取って、この時期ならではの趣向に繋げたい思惑もあり、
その意味で「やはり時代は動いている」「この会にも動きがあってよかった」と、
これも再認識したものです。
さて。
今回の発表会は・・・
残念ながら一言で言うと「がっかりと、恥ずかしい」に、なってしまいました。
前述のように大体主だった文化行事は、春か秋がシーズンですが、
稀に、こういうオフに催なさる会もあります。理由はやはり、
シーズンの込み入り様を避けて会場を正確に確保したいのに加え、
行事が重なって他に客足が散らないよう、観客も確保したいからです。
自分自身「いいアイデアだな」と感じ、一度試してみたい気はしておりまして、
結果的に偶然が重なって、今回体験することができたのです。
が。
ふたを開けてみると、聞こえてきた声は、
「こんな寒い時期にして~ 行きたくても行けない!」という有様で、
それを反映するかのように、観客動員は昨年とほぼ同様の数字に留まったのです。
オフの効能をしきりに褒めていた、前述の会のお客様の話し声に、
少なからず共感したかつての自分を思い出し、
そのあまりの対比に、肩を落としたものでした。
こういう声の主は、まぎれもなく年配層です。
そしてこれは、幸真会周辺の現実を物語っているのです。
「世代間交流」を掲げて、他ジャンルや中学生まで動員しても、
根幹を成す世代が、動かず、高齢化するばかりか、
その方々に「時代認識」がなくては、何をどうやっても、出るのは文句ばかり・・・
そんな状態ですから、
例年平均を見越して用意したプログラム冊子やアンケートは、大量に余り、
その数を目の当たりにして、落胆はおろか、怒りさえ禁じえない心持ちでした。
幸真会では昨年より、
経費削減の大本命として、プログラム冊子の簡素化を実行し、
従来の1/20という驚異的な数字を達成できたので、
その意味では大した痛手では、ないといえばないのですが、
「ムダになった」のは率直に、もったいないことです。一説には、
「出さねば入らない。ケチるから、少ない」という声も聞こえましたが、
この件に関してそれは「いにしえの重厚長大型発想」だと思います。
確かに、出さねば入りません。これは真理です。しかし、
このご時世、誰がどうやって出せるのでしょうか?
もうそれが枯渇したから、こういうご時世になったのではないでしょうか。
この発想を続ける限り、問題は解決しません。
その意味で、
これを「過渡期の現象」と捉えるところが、幸真会たる所以なのです。
寒くてもお越しくださった方こそ、幸真会が真に求める客層なのです。
こういう営みが出来るのは、現状の民謡界では恐らく、幸真会を含め少数派です。
何故なら、民謡界全体が高齢化しているからです。
手前共同様、喘いでいる会が殆どでしょう。しかし、たった一つ違うところは、
「将来があるか否か」です。
かつての民謡ブームに一花も二花も咲かせて後、特に後継者もないのなら、
無理して棘の道を歩むこともないと思うのは、人情でしょう。それは否定しません。
しかし、幸真会は違います。
「若い会主」即ち「将来性」とは、誰もが認めるところ。加えて、
現状の民謡界をもっと発展させたい、進化させたいと願うのは、
関係者一同の切なる気持ちです。
見た目だけで云々言う方には、毅然と一線を画し、
「がっかり」せず、求める結果を出していきたいと思いました。
もう一つ。
アンケートに、
「私語雑談が多い」と「各民謡の歌詞を載せて欲しい」という、
相対する意見が寄せられました。
大多数の会主先生なら恐らく「じゃ、少しでも載せよう」と考えるでしょう。
しかしここに「民謡界の発展と進化」を妨げる、大きな落とし穴があると思います。
私のホワイエコンサートでもそうでしたが、
知っている民謡の時は一緒に唄う声が、客席から聞こえてきます。
これは「ホールのマナー」に反します。
民謡酒場ならいざ知らず、
ホールという場は、演者が指定しない限り、同様に声を出すのは禁止です。まして、私語雑談などもってのほか、昨今の携帯電話などは論外です。
歌詞をと書かれた方は恐らく、唄いたかったのでしょうが、それはお断りです。
また、私語雑談の内容が、舞台に関することならまだしも、
全く関係ない、となり近所の与太話であったとか・・・
前者のご意見(苦情)は、他ジャンルのお客様であったということを、
このコラムから関係各位は、深く認識して戴きたいと思います。
これは、どう覆い隠すべくもない、本当に恥ずかしいことです。
こういうご時世に、様々な文化活動が出来る世代は限られており、
民謡界高齢化とはいえ、どこでも総じて、同じ時代を生きてこられた方々なのに、
ジャンルが違うと、こうも違うものかと心底情けなくなります。
このテーマに関して「アナウンスで『指導』したほうが」との声がありました。
確かに昨今、開演前にそういうアナウンスをよく耳にします。が、
彼らには「ホール」という独特の雰囲気が、判らないのでしょうか? 加えて、
幸真会では昨年よりアナウンスを、住吉中学校放送部の皆様にお願いしております
が、
年若い中学生がMC台本のその活字を見て、どう思うでしょうか? 更に、
制服を着た中学生の声で諭されることを、彼らは恥ずかしく思わないのでしょうか?
今後、幸真会や私が成すべきこと(と言うのはおこがまし過ぎますが)は、
まだまだ、本当に棘の道だと思います。
いっそ極右派を名乗れば、お互い割り切れていいのでしょうが、
これは長い目で見て本当の進化発展にはならないので、
色んな局面に応じて手法を使い分けながら、進めていこうと思います。
そして、今回もご協力ご賛同賜った関係各位には、心より感謝申し上げます。
引き続き努力精進に邁進しますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。