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宝塚市立宝塚中学校にて - ???? ???
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宝塚市立宝塚中学校にて

宝塚市立宝塚中学校にて

 先月半ば頃の夕方、宝塚中学校の教頭先生からお電話がありました。

「一年生162名に、和楽器や邦楽に触れさせる意味に於いて、

日本民謡の演奏をお願いしたい」というものでした。

電話番号は、私が登録している宝塚市教委「みんなの先生」幼小中高の部
から、検索なさったようでした。

「学校教育」は、私が最も得意とし、

また自身の将来の方向性として、今後最も力を入れるであろう分野です。

私は日程と時間の確認だけで、即座に「OK」のお返事を致しました。 宝塚市教委の「みんなの先生」は、

’00に私が初めて登録した当時は、小学校高学年のみでしたが、

来年度から、幼小中高に登録枠を広げたところ、早速のご指名となりました。

都会の教育現場では、やはり邦楽教育がネックになっており、

どこでもその対応に苦慮しておられるようです。

邦楽サイドの人間は、学校の実情に応じたサービスをもっと提供できるよう、

工夫すべきとの思いを常に持っているので、今回は、そういう実情に沿うべく、

自身の指導手法や、様々な事柄を試す絶好の機会でもあります。

予め、生徒向けの資料に、自身のプロフィールを添付して郵送し、

自分の中でシミュレーションをしながら、当日を待ちました。
 3月17日水曜日。午前中の灘中央教室と晩の六甲教室の合間をぬって、

一路、宝塚へ車を走らせました。

校門前に着くと、校門は閉じられておりましたので、

携帯電話で連絡を取り、言われたように校門を開けようとしました。すると、

服装を乱した生徒が一人、カバンを担いでこちらへ向かってきます。

どうやらエスケープのようでしたが、なんと、自ら校門を開けてくれました。

「あぁ、すみません。ありがとう」と言うと、照れくさそうに校外に去って行きまし

た。

後になって、教頭先生にこの様子を話すと、先生も照れながら、でもにこやかに、

「そうですか、服装を乱した子が・・・

たまにいるんですが、基本的に宝塚の子は人懐っこいんですよ」。

今どきの中学生!?と興味津々ではありましたが、

案外というかやはり、我々の時と左程変わってはいません。安心しました。

 先生方に誘導されて、所定の場所に車を止め、

持参した楽器(三味線、津軽三味線、尺八)の三種類を、

会場となる体育館に運び込みました。

この日は暖かく、上着を脱いでも丁度なくらいなのが幸いでした。

 やがて呼吸を整えて、お声出し。そして、安里屋ユンタのゲネをしていると、

教頭先生がおもむろに、「私は旅行が好きで、沖縄にもよく行くんですが、

それを聴かないと行った気にはならないくらい、好きなんです。

今日は聴けるんですね。あぁ、嬉しい!」。そう言われると、こちらも嬉しいです。

 
 やがてチャイムが鳴り、生徒がわらわらと体育館に入って来ました。

先生方の指示で静かになり、ご挨拶をきっかけに「邦楽の時間」が始まりました。

先頃の神戸新聞松方ホールホワイエコンサートと同様のオープニングで、

鹿児島小原節、安里屋ユンタ、南部牛追い唄、秋田小原節の演奏を終え、

次に、予め郵送し、いま配って戴いたばかりの、自作の民謡資料を元に、

「レクチャー&プレー」と呼んでいる、講義と実演を平行して進めていきました。

内容は、民謡概論、楽器の説明、民謡音楽の特性などでした。

 生徒は、殆ど静かに聴いてくれました。

中には居眠りという、逆な静けさもあるのですが(笑)

まぁ、暖かい昼下がりに、黒田節を聴かされては、

眠たくなるのも無理はないかも知れませんね~ 因みに、黒田節は、

元は雅楽の越天楽今様であるという部分が教科書に掲載されていることに、

則った上でのことでした。

 その他、尺八でサン・サーンスの白鳥や、

三味線でさだまさしの精霊流しをやったりもしました。

 つまり、今回私が中学一年生に伝えたかったメッセージは、

「日本民謡は私達先祖の唄である」ということと、

「決して特別なジャンルではなく、洋楽とも共通している。世界は一つである」

という二点なのでした。音楽担当の先生も「音楽の教科書を確認しておきなさい。

雅楽の越天楽今様が、どのようにして黒田節になったかを」と、

後述して下さいました。

 50分が経過してチャイムが鳴り、拍手のうちに日本民謡の時間は終わりました。

後になって、興味のある生徒たちが20名ほど近寄って来て、

先生を中心に2~3の質問を交えながら、楽器を間近で見る時間も少しありました。
 その後、教頭先生のご案内で校長室へ呼ばれ、3名で歓談いたしましたが、

ここでは「日本民謡は先祖の唄」「世界は一つ」の二点に大いに共感して下さり、

それを中心に話しが進められました。

「確かにそうです。先祖を大事にするということが、今はどんどん希薄になってい

る」

「世界は一つという意識があればこそ、無意味な争いもなくなる」と・・・

私も、日本民謡の立場から学校教育に協力したい旨をお伝えし、

教頭先生に見送られて、宝塚中学校を後にしたのでした。
 さて。今回の私の「日本民謡」を聴いて、生徒はどのように感じたのでしょうか?

殆どの生徒が、顔を上げて私の方を見ていたので、

概ね、興味を持ってくれたのかも知れません。加えて、

先生方に喜んでもらえたのは、何よりの収穫だったと思います。

 今まで私は、トライやる・ウィークなどで実績を挙げてきましたが、それは、

「音楽系部活動に所属している生徒」という、有利な条件があってのことでした。

しかし今回は、一般生徒が対象だったので、

自身の指導手法の、今後進化すべき部分の再確認に、大いに役立ちました。

「優秀な指導家の育成」を掲げようとしている私にとって、まずは、

自身の指導手法のマルチ化が達成できなければなりません。

そしてこれからより一層、学校教育現場に喜ばれる指導家でありたいと思いました。