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いい季節になりました

いい季節になりました

五月。

私は一年のうちで、この季節が一番好きです。

個人的に好きな色がみどり色なのですが、

この季節は、それがいっせいに吹き出してくるからです。

花の盛りを過ぎて、新芽、若葉が日を追って、その色合いを濃くしていきます。

毎日、同じ道を車で走っていると、

気付かないうちに、しかし確実に、緑の面積は増えてきており、

いい意味で、見通しが減少していきます。

 また、匂いも感じられるようになります。

若々しい、勢いのある、みどりの匂いです。

中学、高校時代は、この匂いを求めて、ちょうど現在住んでいる近辺まで、

自転車でよく来たものです。

 少し前ですが、

近所の樹木で、シャカシャカという音が聞こえることに気付きまして、

興味本位に近付いてみましたら、

無数の毛虫が、芽吹いて間もない木全体の新芽に群がって、

葉っぱを勢いよく食べている音だったことがあります。

あんなに小さな生き物でも、木の全体に群がる数が相当数であれば、

離れていても音となって聞こえてくるのだと、感心したものです。また、

その木の下は、これまた無数の毛虫のフン。

肌色のインターロッキング(ブロック)の地面が、

その一面、緑色になっているほど落ちており、

これがみどりの匂いをより一層、引き立てていることにも気付きました。

木には気の毒ですが、これも自然の摂理であり、季節の風物詩なのでしょう。

 更に、重い上着を脱ぎ去る季節でもあります。

少し肌着を重ねさえすれば、半袖でも充分。日によっては夏着でもいいくらいです。

色合いも、濃いものから、薄い、淡いものへと変わり、

街を歩いていると、それらは日差しにも増して眩しいくらいです。

 よく晴れた日に、海辺に行ってみると、

冬場にはなかった、日差しと太陽熱の水面の反射を、

さざなみから感じることができます。

少し濁ったように見える水中は、海水が温んでいる証しです。

手で触れてみると、まだ冷たくはあるのですが、

キリッと肌を刺すような感覚は、もうありません。

 また、この季節の雨も、いいものです。

冬のように、湿りは寒さを伴わず、心地よい肌触りに思え、

正にマイナスイオンの恩恵と受け取れます。

私はこの時期、少々の雨なら窓は開け放しておきます。

たまには部屋全体を潤すのもいいかなと・・・

五月の雨は、梅雨の走りでもない限り、何日も続くものではないし、

雨上がりの日差しは風を呼び、それは湿気をほんの数分で取り去り、

また爽やかさをもたらしてくれます。

雨の日に山を見上げると、所々、霧に煙っていることがあるので、

めぼしをつけて、その辺りを目指して行ってみると、

冷たく、しかし心地好い空気に、全身で触れることができます。

いわゆる、森林浴です。私にとってこれは、至福の時と言えます。

本当に、この季節が大好きです。

 ただ残念なのは昨今、

黄砂だ、花粉だ、ウィルスだと、全く以って興醒めな因子が増えてきまして、

こういった季節の愉しみが、年々感じにくくなってきたことです。

確かに、この時期のくしゃみ、鼻水、目の痒みは、不愉快そのもの!

小雨で車のワイパーを動かすと、

黄色く濁ったドロドロの雨だれをガラス越しに見て思わず、

「うわぁ~」と声を上げることさえもあります。

もうきれいな空気は、都会では望めないのかと、

溜め息の一つも出てしまうことがあるのですが。でも、

だからこそ、この季節の良さをなるべく多く、味わいたいのです。そうすることが、

回り回って、少しでも自然を身近に残そうという意欲に繋がると思っています。

 私達は、地球上にしか住むところはありません。しかしそれは、

地球は人間の所有物だということを意味しません。

地球は、かけがえのない地球なのです。だからこそ、

自然浄化作用だけに頼らず、これからはより一層、

自然を敬う姿勢を持ちたいものです。

新緑の季節に改めて、自然への悦びと感謝を思ったのでした。

いつまでも、いい季節であり続けますように・・・