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ワークショップを終えて・・・ - ???? ???
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ワークショップを終えて・・・

ワークショップを終えて・・・

 去る平成16年6月17日(木)、西宮市内、阪急西宮北口近くの草志舎に

於いて、「声を巡るワークショップ」の第二回目を、私が日本民謡にて、

無事に務めさせて戴くことができました。

ここに、当日ご参加下さいましたお客様に、心より厚く御礼申し上げます。

今回のコラムは、その時の模様と致します。

 今回、私が一番気を遣ったのは、二回公演であるということでした。

会場のキャパが満席で60名という状況だったので、昼と夜に分けたのですが、

これは「演奏会は一回性である」という性質上、極めて稀な設定でした。ただ、

私個人的には、ジャズ時代、イベントなどの催しに於いては、

一日2~3ステージというのは何度か経験しておりますので、

大して苦にはなりませんでした。

強いて言えば、当日まで止まらなかった咳が心配だったことでしょうか・・・

何とか露見せずに済みましたが、本番中は何度もガマンをしたものでした。

 では、それ以外の気遣いとは?

それは「完成度の均一化」ということです。

二回通して聴く人は、スタッフしかいません。観客は、総入れ替え制です。

そういう条件だと、お客様の雰囲気によって多少の差異は醸すべきでしょう。

しかし、同じグループの方々が昼と夜に分けてお越しになる場合もあるわけで、

基本的な部分以外に、あまりにも「仕込み」にバラつきがあっては、

演者として失格なのです。

特に「ワークショップ」という、一定の成果を出さなければならない今回に

あっては、指導手法としての言葉は、一字一句でも違ってはならない程に、

シビアなものでなくてはならないでしょう。その上で、

雰囲気に応じた臨機応変さが構築され、

昼も夜も、ほぼ同じレベルに到達させられれば、一応は合格かと思うのです。

 さて、

まず昼の部ですが、こちらは殆どが「組織票」だったとでも申しましょうか(笑)

和やかな雰囲気で進んで参りました。資料として用意した五線譜などは、

大方、こちらの目論見通り、滞りなく楽曲を進行させることが出来、

また皆様の「声」の具合も、

難しい楽曲の時こそ、正確な「声」にするのは難しかったようですが、

地声が基本となっている日本民謡の性質上、

4曲を通じて、そう苦ではないように、舞台上から感じておりました。

ただ、昼の部で反省があったとすれば、5人の演奏とトークでした。

他の演者の方々、

昼夜を通してご自分の歌の時、前振りとして説明を入れられたのですが、

これは全体の時間を長引かせたのではなかったかと、思います。

各回でワークショップはなさるのだから、ここでは不要ではなかったでしょうか?

それと、

5人のトークの内容は、明らかに夜の方が充実しており、

昼は「手探り」の感が否めないように思いました。これは勿論、

私の主張が甘かったことによります。どういう環境であれ、

しっかりと準備した通りのものを出せなければ、いけなかったでしょう。

 かたや、

夜の部は5人とも、昼の部の経験からか、

特にトークの充実ぶりには、目を見張るものがありました。

夜の部は、現役の学校教師や何らかの指導的立場の方が殆どで、

雰囲気や質問の内容も、かなりのレベルであったことにもよりますが、

そういう盛り上がりの中で、逆に私は心中、

「あぁ、これではいけないんだよなぁ」と、反省していたほどでした。

つまり、キャパからの影響を、あまりにも受けすぎているからです。

会場の様子は、開演直後から察知していたので、

努めて「同じように、同じように」と、心掛けていたつもりですが、

結果的にはその思い入れが、余計に盛り上がりを助長したかも知れません。

なかなか難しいものです。

 ワークショップそのものは、昼とほぼ同じレベルを達成でき、

こちらは自分なりにも納得いくものでした。が。

もっと高いレベルに設定したほうが良かったかとも思えるふしが、

なくはありませんでした。それ程に濃密なムードが漂っていたのですが・・・

さて!

最初より後が高い。それでいいのかどうか? 状況によってはそうすべきか?

逆に同じレベルでないといけないのか? キャパを無視してまで合わせるべきか?

ここが非常に難しいところだと思います。

いま、これを書いている段階になっても、まだ自分の中で答えが出ていません。

でも、ひょっとしたら~

キャパによる差という「気遣い」ではなく、

「このレベルを達成できるキャパか否か」でなくてはならないかも・・・

それこそが本当のワークショップ! 「お客様のための学びの場」かも知れません。

 一方、

スタッフとしてずっと専従してくださった方から、

「夜の方が、音にも声にも艶があったように感じた」とのコメントを頂きました。

楽器がその場に馴染む時間ということかもしれませんが、

もしかしたら、やはり「夜の楽器」だから?

そういうように聴こえたかも知れないし、本当にそうなのかも知れないし・・・

差が出たという反省は反省として、

なかなか興味深いことを教えて下さったと思いました。

 今回のような経験を、私は今後もっと沢山積んでいきたいと思っています。

演奏家は演奏経験を積むこと。指導家は指導経験を積むこと。

これが何よりの勉強です。

いままで「指導」は、決して日の当たる市場ではなかったかも知れません。

どうしても実践に目が向き、指導は、一流になれない者の生活の糧と、

見なされてきたからです。

しかし、人が生まれてこの方、親や兄弟姉妹、学校や大人や社会の、

「指し導かれる」営みなくして、人は今日まで真っ当に生きてこれたでしょうか?

人間は元々、教えられるのが好きで、教えるのが好きなように作られています。

良い指導者、教育者の下という環境は、本当に居心地がよいものです。

今回のワークショップで、

私に向けられた温かい、そして期待のこもったお客様からの眼差しに、

一日でも早くお応えできるよう、これからも研鑽を積んでいく所存ですので、

今後とも宜しくお願い申し上げます。この度は、有難うございました。