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平家が残した民謡その1 - ???? ???
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平家が残した民謡その1

平家が残した民謡その1

このコーナーでは、日本民謡にまつわる様々な事柄を、教養的学術的な側面から捉えて、お話しして参ります。

001 3回シリーズ「平家が残した民謡」<その1>

いまNHK大河ドラマでは「義経」が放映されております。僕も欠かさず見ておりますが・・・
そこで丁度タイムリーとも言えますので、大河ドラマとリンクさせたテーマにしようと思いまして、これより3回シリーズ「平家が残した民謡」と題して、特に有名な3曲を四方山話として取り上げて参ります。
その1の今回は「富山県のこきりこ節」のお話しをいたします。

”こきりこの竹は 七寸五分じゃ
 長いは袖の *かなかいじゃ
窓のサンサもデデレコデン 晴れのサンサもデデレコデン”
*かなかい=「邪魔」の意

日本民謡とは、平均して約400年前に、この国の庶民によって演奏歌唱され、今もなお伝承されている民俗芸能ですが、大きく分けて下記の三つ~
1.民間伝承型、
2.支配階級伝承型、
3.新民謡、
に分類できます。
また、
日本民謡の歌詞の形態も、主に、
7775の26文字=甚句調(じんくちょう)
7575の繰り返し=七五調(しちごちょう)
7777の繰り返し=口説調(くどきちょう)
の三種類があります。

それからすると、このこきりこ節の分類は「平家が残した・・・」ということで、2.の
支配階級伝承型民謡、
歌詞の形態は、7775の甚句調
となるのです。

さて、
こきりこ節が生まれた背景ですが、
今風に言うならば、リストラされた中央官僚とでも申しましょうか~
富山県の五箇山(ごかやま)という山深い片田舎に落ちのびざるを得なかった平家衆のとある一団は、在りし日の都での暮らしを思い出し、狩衣(かりぎぬ)を纏い、烏帽子(えぼし)を被って、23.3センチ程の長さの筑子(こきりこ)という細竹を両手に一本ずつ持ち、太鼓、鍬金、小さな木片を綴じたビンササラという打楽器の一種などを打ち鳴らしながら、時の経つのも忘れて唄い踊ったと言われております。

もともとは武家とはいえ、カリスマ平清盛の出世に伴い、公家化していった平家。それは既に藤原時代に極められた政権形態であり、時代の流れにはそぐわなかったゆえに、源氏による武家政権の台頭の前に敢え無く滅ぼされ・・・しかし、
厳島神社、音戸の瀬戸などに見られるように、高い文化性は西日本の各地に様々なかたちで今に至るまで残されており、それが民謡というジャンルにまで及ぶ辺り、誇った栄華はやはり本物であったと思います。

このこきりこ節。近年では学校音楽教科書に「福岡県の黒田節(これも支配階級伝承型)」と並んで掲載されております。ただ、
五箇山から少し離れた八尾町(やつおちょう)で、風の盆の通称で有名な「越中おわら」と比べた場合、楽曲の構成に明らかな違いが見られるのはやはり、純粋な民間伝承ではなく、支配階級から時を経て庶民に伝承された経緯を持つからでしょう。

通常、
日本民謡の殆どは民間伝承型であり、それは「いつとはなく誰ともなしに唄われ伝えられたもの」であるので、来歴由緒は詳らかではないのですが、
支配階級伝承型民謡と新民謡に関しては、詳細な文献や情報が確りと残っており、このこきりこ節に関しては「二十四輩巡拝図絵」と「越の下草」が有力です。

今回は源平合戦とは直接関係のない地方の民謡「富山県のこきりこ節」を取り上げましたが~
次回は
屋島の戦いに敗れた落武者が隠れ住んだ、徳島県祖谷(いや)地方の民謡「祖谷の粉引き唄(いやのこひきうた)」を、
そして最終回は、
壇ノ浦の戦いに敗れた落武者が隠れ住んだ、宮崎県東臼杵郡椎葉村(ひがしうすきぐんしいばそん)の民謡「稗搗節(ひえつきぶし)」を、
お送りします。

こきりこ節は、栄華の昔を偲びながらも比較的明るい曲調、詞調なのですが、
次回よりの二つは、戦いの有り様や人間模様が色濃く感じられますよ~

お楽しみに!