コラボ! 次々に生まれた曲たち(4)
コラボ! 次々に生まれた曲たち(4)
「ブルース花笠音頭」
このタイトルを見て、何をお感じになられるでしょうか?
その前にまず、広島県三次市でのお話しをします。
’95年の夏。
友人の誘いで、三次ワイナリー巴郷祭(はきょうさい)という、ワイン工場の夏祭りイベントに、バンドのメンバーとして参加することになりました。
巴郷(はきょう)とは、三次市の地理的条件から付けられた名前で、神野瀬川(かんのせがわ)、西城川(さいじょうがわ)、可愛川(えのかわ)の三つの川が、巴(ともえ)のように流れ込む郷(さと)という意味です。これらは三次市内で江の川(ごうのかわ)という一つの大河となって日本海へ注ぎます。そのせいか、中国山地の真ん中でありながら、極めて豊かに満たされた水と風が感じられる、美しいまちでした。ここに新しく出来たワイナリーで3日間、巴郷祭が繰り広げられ、1日2ステージをこなしていったのでした。
この時のメンバーの詳細は、友人がトランペットで、サックスとベースは「東風(トンプー)」を試演した二人、それにキーボードとドラムという、いわゆるカルテットで、ここに僕が津軽三味線で加わるカタチでしたが~
この面々・・・いずれも強烈な個性の持ち主ばかり! それゆえに、拙い僕に与えられた影響は計り知れないものがありました。言い出せばキリがないその個性なのですが、一つだけ言えるのは、クラシックの練習を積み重ねて音楽大学に入学した彼らなのに、ジャズのスピリットを十二分に備えていたことですねぇ。
ジャズを志す者が最初に練習する曲として、ブルースがあります。簡単といえば簡単。しかしだからこそ難しい、永遠の課題ともいえるのが、ブルースです。
彼らの凄まじいまでのジャズスピリットに、瞬く間に感化されながら、僕の中で、このブルースと、あるフレーズとが、半ば強引にリンクして浮かんできました。それが花笠音頭だったのです。
・ブルースとは、奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人たちの、魂の叫び。
・かたや花笠音頭は、山形県花の紅花にまつわる目出度い踊り唄。
それぞれの生い立ちを重視してコラボレートさせるなら、この組み合わせはナンセンス以外のなにものでもないでしょう。悲しく苦しい唄と目出度くて踊っている唄・・・ 合う筈がありません。
しかし、
そんな理屈云々より、僕の頭の中に、ハッキリ、クッキリ、シッカリ(笑)沸き起こってきたのですよ。この二つが一つになる曲が!
花笠音頭にはほんの少し手を加えるだけで、ブルースのⅠ・Ⅳ・Ⅴのコード進行とピッタリ合致するのですから、もう驚きです! ノーベル音楽賞があれば候補に挙げたいくらいというのは、言い過ぎですが(笑)
共通項があるからと始めた、民謡とジャズのコラボレーションですが、この曲ほど、それを実証するに充分なものはありませんでした。そればかりか、更に前述の「バラード稗搗節」へと繋がって、このコラボはますます充実していくのです。