コラボ! 次々に生まれた曲たち(7)
コラボ! 次々に生まれた曲たち(7)
MORE and MORE
久しぶりに友人の作品を2曲紹介したいと思います。
タイトルは「これからもっともっと進化していくように」の思いからつけたのだそうです。確かにトッパシから、三味線の奏法にはないものを求められました。3本の弦を同時に押さえるのです。指先では数ミリづつのズレが生じるので、指の長さを利用し棹幅を跨ぐように押さえました。当然、爪で押さえるのがセオリー(故高橋竹山氏のみ指)の三味線にあって、しかも指先ではない第三関節にまで至る広い部分を使うとなると、音はちゃんと響かず、ミュートしているのかと思われるのがオチなような音でした。加えて、16分音符を織り交ぜた細かく素早い撥さばきまで伴っており、普通の三味線奏者なら「ナンセンスだ!」っと放り投げるでしょう(笑)それでも彼は「勢いでやれ」と言わんばかりに黙殺し、淡々とリハを進めていったものでした(笑)
この曲で求められた津軽三味線のキャラは、基本的には従来の「スピード・パワー・テクニック」の域を脱しないものではありましたが、ソロ以外のテーマ部分には大した指定がなく、その意味で「津軽三味線フィーチャー」というわけではない難しさはありました。つまり、いつまでもゲスト扱いではなく、完全にバンドと一体化することを求められたのかも知れません。「目立っているようで融合している『津軽三味線』」といった感じでしょうか・・・
ソロの部分は、16小節のブルースコードを任意に繰り返した後、第二テーマのコードに展開して、次の奏者へ渡すというものでした。奏者毎にリズムが異なり、僕の津軽三味線はロック調、サックスは16ビートのスイング調、Codaで現れるキーボードはサンバ調といった具合で、テーマ戻りの前にはドラムソロもあり、もう「行け行け!ガンガン!Dマイナー!」正に「MORE and MORE」な曲でした。
彼の和楽器コラボの作品のなかで、この曲は最も多く演奏され、またライブの〆として重要な役割をも与えられていたように思います。
次回は、尺八をフィーチャーした「River’s Song」です。