人間の進化

人間の進化

 もう10年以上も前になりますが、

「AMADEUS」という、モーツァルトの一生が描かれた映画が大ヒットした事がありました。

その後年、今度は「不滅の恋」という、ベートーヴェンの一生が描かれた映画がありました。

 この二つの作品の主人公に共通しているのは、

「常識的な部分は欠落しているが、音楽に関しては天才である」と言う事です。

確かにこの二人の足跡は、今に至るまで語り継がれ、その作品は今後も演奏され続けるでしょう。

現に彼等の意識体(魂)は、五大宗教の始祖や、日本人なら聖徳太子や福沢諭吉などと同じ、

人間が到達できる最高の、七次元(仏教で言う「如来界」)に至っている程の素晴しさなのです。

 しかしここで、一つ疑問があります。 

前述のように「常識的な部分は欠落」していても、天から授かった能力にのみ邁進さえしていれば、

それでいいのでしょうか? 

 有史以来、人間は常に進化してきました。それは、

科学、哲学、宗教、政治、倫理、芸術、あらゆる多種多様な分野にまたがります。

私が個人的に気になるジャンルは「モラル」です。

彼等の生きた1700年中期から後期は、日本で言えば元禄文化が花開く少し前で、

少々乱暴な言い方ですが、世界的に見ても、人間がその歴史上始めて迎えた、文化の最初の爛熟期に当たると言えます。

当然乍らこの当時にも、高いモラルを持って人生を全うした奇特な人物はいたでしょう。

それがたとえ、芸術家に限らなくても、です。

 そして時代を経て、いま我々は現代社会に生きています。

前述の人物の時代も、その当時は「現代社会」という意識でしたでしょうけれども、

殆どの人間が「地球」「世界」を意識できる今の現代社会は、紛れもなく、自他共に認める最先端に違い有りません。

その今、果たして人間は、どの程度進化しているでしょうか?

 前述のお二人は、「モラル」という点では全然駄目でしたね。

彼等のお陰で多大な迷惑を被った周囲の人物も、映画では描かれています。勿論、

そのマイナス以上に、音楽というプラスが大きかったからこそ、ではありますが、

人間は常に進化し、歴史に学ぶ事が出来るのですから、

「一芸に秀でる」という言葉に、不用意に甘んじすぎない様、

モラルも、その他の必要最低限の事も、当り前にクリアーし、尚且つ天分を遺憾無く発揮する人物。

これこそが人間の進化であり、未来に繋がる、今を生きる現代人の姿だと思います。